4月14日土曜日、午前11時。
小説をご紹介する番組、
『ブックベルト』の時間です。
今回は、普段コミックを担当する
たくがお相手をつとめます。
よろしくおねがいします。
だれもが家という場所に、
いちどは住んだことがあるわけです。
もちろん多くの人はいまも、
家とよべる場所に住んでいます。
そこは生まれたところかもしれないし、
「何でこんなところに」と思うような、
そんな場所にゆきついた人もいるでしょう。
家という場所はその形もちがえば、
そこに住んでいる人もちがいますから、
だから人それぞれに「家」はあります。
よそさまの家におじゃますると、
ふしぎなきもちになります。
異文化体験なんて言ってしまうと、
すこし大げさな気もしますが、
もしかしたらそうなのかもしれません。
家にはそれぞれに、文化があります。
『家日和』という小説には、
さまざまな家と、その文化が登場します。
作中で描かれる「家」という場所と、
住む人の家との付き合いかた。
これが妙に、おもしろいんです。
会社が倒産して、
昼間から家にいるようになった
サラリーマンが、料理に走ったり。
別居をきっかけに、
夫婦部屋のインテリアが一変したり。
家の数だけ人がいて、
人がいるから家はあるんですね。
家に文化があるのだとしたら、
それは住む人がつくっています。
そして夫婦や親子からなる家族も、
そもそもは個人の集まりです。
「皆」が住む家にスポットがあたることで、
逆に「個人」の姿がみえてくる。
家という同じ文化圏に住んでいても、
そこにはやっぱりズレがあるんです。
どんなに長く一緒に住んでいるひとだって、
まず、ひとりの「個人」なんですよね。
これ、意外と忘れがちだなぁ…。
家日和 集英社文庫 奥田 英朗 集英社 2010-05-20 |