8月16日木曜日、午前11時。
とつぜんですがみなさんは、
どんなときが「幸せ」ですか。
美味しいものを食べているときですか?
大好きな人と一緒にいるときでしょうか?
それともお仕事が、うまくいったとき?
幸福観は人それぞれですが、
他人の幸せは自分自身をも、
ちょっとだけ幸せにしてくれます。
素敵な結婚式に参列したときの、
あの気持ちです。
そんな様々な「幸せ」を感じるときをテーマにした、
ほしくま初、小説仕立ての新連載が始まります。
幸せのお裾分けをどうぞ。
『しあわせがここにある』
いまの職場に勤務して、ちょうど1年。
旦那、息子と暮らす自宅は歩いて15分ほどで、
通勤に車はほとんど使わない。
県で2番目に栄えている町とはいえ、
田舎は田舎。道沿いに見える景色は
水田と山々、あとはまばらに点在する
民家くらいのもの。
そんな田舎道の夜景を横目に歩くのが、
仕事が終わった帰り道なのである。
いまは夏。水田では青々と伸びた稲が、
まるで草原のように凪いでいる。
蛙と夏虫の鳴き声のあがる草原の先には、
家々の放つオレンジ色の灯が見える。
上手くは言えないけれど、
じつはわたしはこの景色の中に
「幸せ」を見いだしている。
「人が生き、生活している」
そんな当たり前ことが、
本当はとんでもない「奇跡」の
ようなものなのではないかと、
そう思っているのだ。
…まぁ勿論、仕事上がりのハイテンションで
感傷的になっているだけかもしれないけれど。
さて、とにかく今夜もわたしは、
この景色を横目に我が家へ帰る。
白状すると本当はわたしも、
「当たり前のような奇跡」の一員。
家の扉を開ければ、
愛する家族が待っている。
「ただいま」
やっぱりこの瞬間が、1番の幸せ。
家々の灯が優しく輝くのは、
そこが誰かにとっての
「帰る場所」だからなのかもしれませんね。
幸せのお裾分け、
『しあわせがここにある』。
それではまた次回。