8月20日月曜日、午前11時。
さまざまな「しあわせ」のかたちを
小説仕立てでお送りする番組、
『しあわせがここにある』。
今回のお話も、とっても身近。
「しあわせ話」を集めると、
だいたいは身近な話になるんです。
わたしたちの周りにも、
ちゃんとハッピーの種はあるんですね。
というわけで今回は「お菓子」な話。
しあわせのお裾分けをどうぞ。
わたしは幸せを、
コンビニで買っている。
…こんな風に言ってしまうと
身もフタもないけれど、
事実なのだから仕方ない。
仕事帰り、駅までの大通り。
うだるような夏の空気をかき分けて、
今日もわたしは「幸せの補給所」
コンビニエンスストアに辿り着く。
目的はチョコレート。お菓子の王様だ。
有名なパティシエのいる
洋菓子店も素敵だと思うけど、
こっちだって捨てたもんじゃない。
手軽さで言えばこっちの方が
ずっと「お菓子」だと思う。
大体は雑誌コーナーのチェックをしたあとに、
お目当ての「お菓子の棚」の
物色をすることにしている。
毎日同じ店に行くわけではないから、
見る度に新しい発見がある。
「(ココアミント…新商品!)」
ミント系はこの夏、多く出回っていた。
こういう「流行」はお菓子の世界にも
季節ごとにしっかりとあるのだ。
コンビニはお菓子のスペースが小さい分、
熾烈な棚争いがあるので(勝手なイメージだけど)
味も常に進化している。先日試した「塩バニラ」なんて、
思い出しただけで幸せな気持ちになってしまう。
1日にひとつ、チョコを選んで食べる。
とにかくこれが、わたしの日課。
いまのわたしの小さな生き甲斐。
ショボいと思う人もいるかもしれないけれど、
でもわたしはこういうことが、
人生では大切なんじゃないかと思う。
仕事で怒られたり、恋愛で躓いたり。
そんな小さな「すり傷」のような悲しみは、
日々の暮らしにいっぱいある。
本物の傷にはバンソーコーを貼ればいいけど、
心には貼れない。でも…カサブタだらけはイヤ。
だからこそわたしはこの傷を、
「癒す」必要があると思っているのだ。
そういえばチョコレートはもともと
「薬」だったという話を聞いたことがある。
本当かどうかは分からないけれど、
ちょっと納得できる話だ。
わたしにとってこの甘い食べものは、
日々の疲れによく効く薬だから。
「ありがとうございましたぁー」
店員さんの間延びした声を背に、
自動ドアの向こう側へ。
歩きながら取り出すのは
新作「ココアミント」味のチョコレート。
さて、今回のお薬もよく効くかな。
わたしは幸せを、
コンビニで買っている。
幸せはお金で買うことも出来ますが、
幸せだと感じる気持ちは、
きっとお金では買えませんね。
幸せのお裾分け、
『しあわせがここにある』。
それではまた次回。