前回はこちら
第3回
『仁和寺』
つれづれなるまゝに、
日ぐらし硯に向かひて、
心にうつりゆくよしなしごとを
そこはかとなく書き付くれば、
あやしうこそ物狂ほしけれ。
てつです。
さて、皆さんご存知のこの一文。
そう。
兼好法師こと吉田兼好の、
『徒然草』です。
今回もてつ流に、
どんな意味かと訳しますと・・・。
何かしたいのだけれど、
何もすることがない。
ムラムラとしたまま、
硯とにらめっこしながら、
心の中を通り過ぎてゆく、
どうしようもないことを、
ダラダラと書き残しているうちに、
どうしょうもないくらい不安で、
何ともなく変な気持ちになってきたものだ。
三大随筆と呼ばれるこの作品も、
このように、
書いている本人はもしかしたら、
あまり大した事を考えて、
いなかったかもしれない。
そんな風に考えれば『徒然草』も、
少し親しみを覚えられる、かな。
さて本題。
この季節、春といえば桜です。
中でもソメイヨシノは、
全国の人気者。
しか~し。
せっかくなので、
仁和寺にあります、
「御室桜」をご紹介しましょう。
なんとこの桜・・・、
仁和寺でしか、
見ることができません。
普通の桜よりも背が低く、
花弁が大きい。
美しさよりも、
かわいらしい感じの桜です。
ソメイヨシノが正統派美人系、
枝垂が艶っぽいお姉さんだとすると、
御室桜は・・・ドレス着たお姫様系?
うむ、統一感の無い評価で申し訳ない。
そもそも仁和寺は、
冒頭の、
『徒然草』に出てくる程(長い布石だ)。
歴史が深く、
世界遺産にも選ばれているお寺です。
そんなお寺には、
瓦の絵柄には桜が使われたり、
欄間の模様がおもしろかったりと、
各所におもしろいこだわりがあります。
古いお寺にはついつい、
細部にまで目がいってしまいますな。
春の桜も御室が咲けば終わり。
京都で最後の桜と言われています。
しかし、そんな桜が終わっても、
この時期の京都は過ごしやすい季節、
仁和寺のようなナイスなデザインを、
探してみるのも良いかもね。
『京都日和』
第1回『数奇』
第2回『三寒四温』
第3回『仁和寺』
第4回『葵祭1』
第5回『葵祭2』
第6回『葵祭3』
第7回『葵祭4』
第8回『京都でカレーうどん1』
第9回『京都でカレーうどん2』
第10回『京都でカレーうどん3』
第11回『祇園祭1』
第12回『祇園祭2』