帰宅してすぐにお茶を淹れ、
団子のパックを広げてみた。
きな粉がタレで湿り酷い有様だ。
べっとりもっそりドッテドテ。
素晴らしく微妙な光景である。
しかし、悩んでいても仕方ない。
串を一本取り、覚悟を決める。
いざパンドラの箱を開かん。
…ん?!
あれ、意外といける?
たぶん。いやいけるでしょこれは。
なんか、最初に凹まされていた分、
団子への信用回復が素直にできない。
しかしこの団子、明らかに美味い。
これは…きな粉のお陰か?
タレはそれほど甘みを持たさずに、
きな粉で補うことを狙っている?
…う~む店主、この歌舞伎者め!
俺とした事がしてやられた。
タレときな粉の相乗効果だ。
またこれが抜群にお茶と合う。
団子がさらりと流れていく。
鬱蒼としたアマゾンの密林から、
アルプスの高原へ出たような清涼感。
この太秦ガラパゴスみたらしの実力。
特にきな粉。
今回のお前の働きには感服した。
地味な大豆の粉のくせに、やりおる。
思えば昔はきな粉ご飯が好きだった。
きな粉と砂糖を混ぜご飯にかける。
あれはうまかったな。
いまはあまり食べたいと思わないが。
とにかく、きな粉ってヤツは偉大だ。
あべかわ餅も美味いし。
きな粉、お前を愛そう心から。
ああ、でもさ。
これ…みたらし団子じゃないよね。
こんなにきな粉がかかってて、
みたらしではないと思う、絶対に。
今日からこの団子は、太秦団子だ。
決定です。
新しい世界を見せてくれた団子。
太秦には色んなお店が沢山ある。
ガラパゴス太秦。
今度はどんな生態系が見られるのか!?
ではまた皆様ごきげんよう。
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