第2回
小川洋子
『薬指の標本』
標本を必要としない人間なんていないさ
全ての感情がリセットさせられる、
限定された不思議な空間。
こんにちは、おかです。
今回ご紹介するのは、
『薬指の標本』。
タイトルに惹かれて出逢いました。
本屋さんで背表紙を眺め続けると、
良い出会いが結構あるものですね。
人々が思い出の品を持ち込む、
「標本室」。
持ち込まれる品は、
愛鳥の骨。
家の焼け跡に自生したキノコ。
火傷の跡。
標本にする理由は、
思い出を懐かしむためでなく、
ただ「封じ込める」ため。
そこに勤める事務員と標本技師。
あまりにもひそやかな愛の話。
綺麗で静かで不思議で官能的。
とても神秘的な小説です。
読み終わった後に、
自分の余分な感情が、
全部リセットされます。
標本と言えば。
小学校の自由研究で、
蜂の巣の標本を提出したことがあります。
軒下に作られた立派な蜂の巣を、
決死の覚悟で除去したものです。
母が。
大きかったんですよこれがまた。
インパクトも勿論でかい。
私は何もしてないのに、
凄く良い評価を貰ってしまいました。
薬指の標本 小川 洋子 新潮社 1997-12 |
『ブックベルト』
第1回『ラッシュライフ』
第2回『薬指の標本』
第3回『告白』
第4回『西の魔女が死んだ』
第5回『東京タワー』
第6回『ハートブレイク・レストラン』
第7回『インディゴの夜』
第8回『イニシエーション・ラブ』
第9回『ブルーもしくはブルー』
第10回『こころ』