約束を破るために京都の街中を逃走する、
新しい友情のカタチ。
こんにちは、おかです。
厳しい残暑もそろそろ終わりですね。
今回は森見登美彦特集3冊目。
表題で「おや?」と思った方も多いでしょう。
知っているお話なのに新しいお話。
名作をオマージュした異色の作品群です。
大学内で独裁政治を行う図書館警察長官。
その横暴に芽野は意義を申し立てるが、
代わりに無理難題を要求されてしまう。
芽野はこの要求に対し、
親友を人質に1日だけ猶予を貰う。
しかし、最初から戻ってくる気はない。
約束が破られることを前提に待つ親友、
まんまと騙されたと怒り狂う長官。
芽野は無事に逃げ切り、
真の友情を示せるのか!?
名作の逆を突いた、その発想力。
予想外の展開に驚きます。
表題作の他にも『山月記』や『藪の中』、
『桜の森の満開の下』『百物語』を収録。
1冊で様々な雰囲気を味わえます。
同じ作家とは思えないバリエーションに、
森見登美彦の引き出しの多さを感じます。
8月も古い作品を紹介しましたが、
現在も読み継がれる名作と言うのは、
様々な人に影響を与えてるんですね。
名作を自身の作風に持っていくことのできる、
作家・森見登美彦の力量も凄いですが、
原作の素晴らしさも味わえる1冊です。
新釈 走れメロス 他四篇 森見 登美彦 祥伝社 2009-10-15 |
第1回『ラッシュライフ』
第2回『薬指の標本』
第3回『告白』
第4回『西の魔女が死んだ』
第5回『東京タワー』
第6回『ハートブレイク・レストラン』
第7回『インディゴの夜』
第8回『イニシエーション・ラブ』
第9回『ブルーもしくはブルー』
第10回『こころ』
第11回『銀河鉄道の夜』
第12回『太陽の塔』
第13回『有頂天家族』
第14回『新釈走れメロス他四篇』