第8回
乾くるみ
『イニシエーション・ラブ』
どこかで今日、
失恋したカップルがいたってことね
全貌が見えたとき、豹変する物語。
異色の恋愛小説。
こんにちは、おかです。
暑くなってきましたね。
せめて気持ちだけでも涼しくなるよう、
今月は読後にヒヤっとする小説を。
とは言ってもダイレクトな、
ホラー小説ではありません。
・・・実は怖いのは、苦手なのです。
というわけで今回は、
『イニシエーション・ラブ』をご紹介。
この作品、ただの恋愛小説ではありません。
合コンで出会い恋に落ちた、
「マユ」と「たっくん」。
共有する時間、秘密、
幸せに満ちた甘い日々。
しかし社会人になり環境が変わる中で、
徐々にこのバランスは崩れていく。
この恋愛はただの通過儀礼なのか、
時折感じる「違和感」は、
いったい、何なのか。
読み終えた後、
私が冒頭で言わんとしたことが、
分かって頂けるかと思います・・・。
まさに「豹変」する物語。
ヒヤっとしますよ。
ちなみに時代背景は、
昭和最後のバブル期。
携帯のない時代ですから、
現代の恋愛のプロセスと、
単純に比較しても楽しめます。
これからの季節、
怪談の特集番組なんかが増えますね。
お化け屋敷、ホラー、スプラッタ。
子供の頃は平気だったのに、
大人になってめっきり苦手になりました。
この夏は怖い思いをせずに、
涼しくなる方法を探します。
イニシエーション・ラブ 乾 くるみ 文藝春秋 2007-04 |
『ブックベルト』
第1回『ラッシュライフ』
第2回『薬指の標本』
第3回『告白』
第4回『西の魔女が死んだ』
第5回『東京タワー』
第6回『ハートブレイク・レストラン』
第7回『インディゴの夜』
第8回『イニシエーション・ラブ』
第9回『ブルーもしくはブルー』
第10回『こころ』